少しでも勉強しようと、睡眠時間を削って勉強している受験生は多いかもしれません。
確かに受験生は夜遅くまで勉強するイメージがありますが、受験生にとって、勉強時間と同じくらい睡眠時間を確保することが大切です。
睡眠時間を十分に取らないと学習効率が低下してしまい、睡眠時間を削ってまで勉強した意味がなくなってしまいます。
この記事では、受験生に必要な平均睡眠時間、睡眠不足が与える影響、良質な睡眠を取る方法などを解説します。
受験生に必要な平均睡眠時間
受験生に必要な平均睡眠時間について解説します。
理想の睡眠時間は7時間半
ある調査によると、思春期の睡眠時間は8~10時間が推奨されていますが、受験生が8時間以上、睡眠時間を確保するのは現実的とは言えません。
睡眠中は、90分のサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。
このサイクルが4回発生する6時間の睡眠では短すぎて、脳のパフォーマンスが徐々に低下していき学習効率も低下します。
そのため、もう1度、サイクルが発生する7時間半が受験生の理想の睡眠時間だといえます。
睡眠不足が与える影響
睡眠不足が与える影響について解説します。
学習効率の低下
睡眠中に起きるレム睡眠は、体を休ませるのと同時に記憶の整理と定着を行います。
90分のサイクルでレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されますが、睡眠が進むとレム睡眠の割合が多くなると言われており、十分な睡眠時間を取ることで記憶が整理されて定着します。
反対に睡眠時間が短いと記憶の整理と定着が不十分となり、学習効果が低下します。
睡眠は体を休ませるだけではなく、記憶を整理して定着させる重要な時間です。
学習効果を上げるためにも睡眠時間の確保が重要です。
精神が不安定になる
睡眠不足だと精神が不安定になりやすくなります。っ
睡眠不足の状態では何をするにも睡魔と戦いながら行うため、集中力や思考力が低下して勉強した内容が頭に入りにくくなります。
勉強しているのに内容が頭に入らないと感じるとイライラを感じるようになるだけでなく、受験に対する不安な気持ちが増大して、精神が不安定になります。
受験に限らず、精神が不安定な状態で何かをしても満足する結果は得られません。
精神を安定させるためにも睡眠時間をしっかりと確保しましょう。
体調管理が難しくなる
睡眠不足は体調にも影響を及ぼします。
睡眠不足が続くと免疫力が低下します。
免疫力が低下すると風邪などのウイルスを原因とした感染症にかかりやすくなります。
受験が行われる冬は風邪やインフルエンザなど、ウイルス性の病気が流行する季節でもあります。
もしも、受験直前に感染してしまうと、受験本番で本来の力を出し切ることができなくなります。
体調管理も受験対策の1つです。
睡眠時間を確保して体調管理を万全にしましょう。
十分な睡眠時間を確保するメリット
次に、十分な睡眠時間を確保するメリットについて解説します。
学習効果が上がる
十分な睡眠時間を確保することで学習効果が上がります。
ある調査によると、勉強した後も起きているのと、勉強後にすぐに睡眠を取った場合とでは、勉強後にすぐに睡眠を取る後者の方が覚えたことを忘れにくいとされています。
また、朝型の人と夜型の人の成績を比較した別の調査では、朝型の人の方が成績が良いとされています。
受験生は夜遅くまで勉強するイメージがあるかもしれませんが、夜は早めに休み、朝早く起きる朝型の生活を送ることで学習効果が上がりやすくなります。
疲労回復
受験勉強をしていると、少しずつ心身に疲労が溜まっていきます。
脳や体が疲れた状態で勉強しても、学習効果と効率が悪くなるだけでしかありません。
勉強した内容が記憶として定着していないことを実感して、睡眠時間や休憩時間を削って勉強しても記憶の定着は改善せず、むしろ悪化するだけです。
このような状態に陥らないためにも、しっかりと睡眠を取って心身の疲労を回復させて、学習効果と効率が良い勉強ができるようにしましょう。
十分な睡眠時間を取ることで免疫力が上がり、風邪などを引きにくくなり、体調管理もしやすくなります。
精神が安定する
睡眠時間を十分に取っていると、精神が安定しやすくなります。
受験生は志望校に合格できるか、親の期待に応えられるか、友達やクライメイトと比べて勉強が遅れているのではないかなど、さまざまな焦りや不安に襲われます。
睡眠不足で思考力が低下していると、必要以上に焦りや不安を感じやすくなり、精神が不安定になります。
十分に睡眠時間を取れていれば精神が安定するため、焦りや不安を必要以上に感じなくなり、しっかりと勉強に集中できます。
夜型から朝型にシフトする
夜型から朝型にシフトすると、2つのメリットがあります。
どのようなメリットかについて解説します。
目覚めてから3時間はゴールデンタイム
脳科学者の茂木健一郎氏によると、起床後3時間は脳の働きが最も活発になるゴールデンタイムと言われています。
ゴールデンタイムの脳は、前日に勉強した内容が記憶として整理・定着しています。
この状態から勉強すると内容が新しい記憶として脳に収納されやすくなり、高い学習効果が期待できます。
受験本番で実力を発揮しやすい
朝型にシフトすると受験本番で実力が発揮しやすくなります。
受験当日は朝から試験が行われるため、夜型の人は普段と違う生活リズムで行動しなければいけません。
受験日だけ生活リズムを変えるのは簡単ではありません。
普段とは異なるリズムで行動すると脳も体も完全に目覚めていない状態で受験に挑めばならず、100%の力を出せるか疑問です。
しかし、朝型の生活なら、受験当日も普段と同じ生活リズムで過ごせるため、万全な状態で受験に挑めます。
受験日の少し前から朝型に切り替えようとする人もいますが、直前に切り替えるくらいなら、もっと早い時期から朝型の生活に切り替える方が、脳のゴールデンタイムを活用した学習効果が高い勉強ができます。
朝型の方が夜型よりも、受験当日に寝坊するリスクも下げられます。
受験本番を想定して朝型の生活にシフトしましょう。
良質な睡眠を取る方法
睡眠は時間だけではなく質も重要です。
良質な睡眠を取ることで疲労回復や高い学習効果が期待できる勉強もできます。
良質な睡眠を取る方法を7つ紹介します。
太陽の光を浴びる
朝、起きたら、太陽の光を浴びましょう。
人間の体内時計は24時間よりも周期が長いため、太陽光を浴びることで体内時計がリセットされて、しっかりと目覚めることができて、夜は体が入眠しやすい状態となり寝付きが良くなります。
朝食を必ず食べる
朝食を食べることも良質な睡眠につながります。
朝食を食べると体内時計を整える効果があります。
また、血流も良くなるため、脳や体がしっかりと目覚めます。
脳が目覚めると勉強した内容が吸収しやすくなり、高い学習効果が期待できます。
適度な運動をする
適度な運動も良質な睡眠を取る方法の1つです。
軽いランニングやウォーキングなど、程よい疲れが眠気を誘い、深い眠りにつきやすくなります。
眠る2~3時間前に運動すると効果的です。
運動で脳の温度が上昇し、布団に入ったタイミングで脳の温度が下がり、寝付きが良くなります。
眠る直前に運動すると脳が覚醒して寝付きが悪くなります。
運動するタイミングに注意しましょう。
夕食は就寝3時間前までに取る
夕食は遅くとも就寝する3時間前にとりましょう。
食後は内臓が消化活動をします。
睡眠中でも内臓は消化活動をするため、体が完全に休まりません。
そうなると、疲れが抜けきれず睡眠が浅くなり、睡眠の質が低下します。
できれば、夕食は就寝3時間前までにとり、その後は間食をしないことが理想ですが、勉強をしていると小腹が空く時があります。
お腹が空いて勉強に集中できない時はナッツや小魚などを軽くつまむ程度にしましょう。
寝る前にカフェインをとらない
コーヒーやお茶に含まれるカフェインは眠気覚ましに効果がある成分です。
多くの受験生もコーヒーを飲んで眠気を覚まして勉強した経験があるかもしれません。
就寝前にカフェインを摂ると、目が冴えて眠れなくなります。
勉強中は眠気覚ましに有効なカフェインも睡眠には邪魔です。
カフェインの効果は人によって、15分~2時間の時間差があります。
就寝する2時間前には摂取しないようにノンカフェインのお茶か水などを飲みましょう。
就寝1時間前に入浴する
入浴は就寝する1時間前にしましょう。
お風呂に入って体が温まると疲れが取れて、心身がリラックス状態になります。
布団に入る頃には入浴して上がった体温が下がり始めて、眠気が訪れるので眠りにつきやすくなります。
お風呂の温度は、少しぬるめの38~40度がベストです。
就寝前にスマホを使わない
就寝前にスマホを使うのは避けましょう。
スマホのブルーライトを浴びると眠気を誘う物質のメラトニンの分泌が抑制され、脳が昼間と勘違いして目が覚めてしまいます。
また、スマホを使い始めると調べものやゲームで、あっという間に時間が過ぎてしまうため、就寝前や布団に入ったらスマホを触るのは止めましょう。
良質な睡眠で効率よく勉強しよう
睡眠について解説しました。
睡眠時間は軽視されがちですが、学習効果や効率が良い勉強をするには、睡眠の時間と質が重要です。
睡眠は疲労回復や精神を安定させるためにも大切です。
この記事で紹介したように、7時間半を目安に睡眠時間をしっかり取り、朝型の生活にシフトすれば、脳のゴールデンタイムを活用した勉強ができます。
睡眠の質が上がれば、勉強の質も上がります。
この記事を参考にして、睡眠と勉強の質を上げてみてください。